花言葉があるように、
カクテル言葉というのがあります。
カクテルの女王といえば、
‘マンハッタン’ です。
お好きな方も多いのではないでしょうか。
明け方まで、青山にある隠れ家的BARで、
大使館のスタッフと、
更年期を過ぎたルイーズ(仮名)の
寂しい心を癒やしていました。
ルイーズがニューヨーク在住時、
一度だけ彼と
‘マンハッタン Kiss’ を交わした
想い出があるとか…。
その彼とは、渦中のウクライナ人。
いまだ安否がわからない彼との
切ない恋に悩んでいるルイーズ。
カクテル言葉が「切ない恋心」の、
‘マンハッタン’をご馳走しました。
‘マンハッタン’は、
エキゾチックな都会的なルイーズに
ぴったりのお酒で、
ウィスキー、甘いベルモット、
薬草系のアンゴスチュラビターズでつくる
ショートカクテルです。
真っ赤な色から
甘美な味を想像させますが、
ベルモット次第では、
ミステリアスな味に変化する
魅力的な飲みものです。
マリリン・モンロー主演の映画
「熱いのがお好き」で
すっかり有名になりましたね。
ルイーズは、
英国風に「バーボンで割って!」と
バーテンダーにオーダーしながら、
竹内まりやさんの〈マンハッタン・キス〉を
リクエストしていました。
私自身も大ファンの
まりやさんの詞とメロディーが
こちらまで切ない気持ちにさせ、
むせび泣くルイーズの顔を見ることが
できませんでした…。
避難に成功していたら、
彼と、もう一度、
‘マンハッタン Kiss’ を交わしたい
と。
彼と再会できたら、
彼には、
カクテルの王様・マティーニを
ご馳走しましょと
約束しました。
私たちは祈る思いで、
小雨降るTokyoの夜明けを迎えました。
ルイーズは、今夜もまた、
Tokyoの霞む摩天楼から、
遠くウクライナを仰ぎ、
涙するのでしょうか ──。
神さま、どうかウクライナに春の光りを!