No.3 花記憶 〜memorial ラブ


昨日の昼下り、一瞬でしたが、

とあるお寺のお地蔵さんを見ているとき、
妖しいピエロが雪中花を手にした映像が
浮かび、
胸騒ぎがしました。

桜の開花が間近になり、
少しウキウキし始めた途端、

3月16日深夜、宮城・福島で、
震度6強が発生しました。
震度7に近い大地震の直撃に、
どれだけの皆さまの
心の叫びが発せられたでしょうか。
東日本大震災ご遺族の皆さまも
ご高齢になられ、
お淋しさやお悲しみは
いっそう深まっています。

そんな矢先の大地震でした!
東北の方々の脳はさぞ
パニックに陥ったに
ちがいないでしょう。

宮城や福島には、たまたま、
育ててきた災害ボランティアの
一部の皆さんがいました。
ジープで避難するように指示しましたが、
何人かは、
海岸に近い高齢者宅を周っていました。
自分たちのいのちの保証もないのに、
2人一組で走り回っていました。

こんな素晴らしい教え子に
成長しているなんて、
感動して、言葉が見つかりません。

彼らに代わってあげたいと思っても、
昨夜は
緊急ヘリがメンテ中で出してもらえず、

じくじたる思いで、
一晩中、電話でやりとりをしていました。

ご家族を失った被災者の皆さまが
住まわれていた
仮設住宅を
回っていたときのこと。

蔵王、那須白河、越前へ連れていって!と
おねだりされることがしばしばでした。
そんな皆さまを、
冬から春のお花である雪中花の名所へ
ご案内しますと、
「私のもとへ帰ってきて」と、
むせび泣かれます。

その切ないお声を忘れることができず、
11年の月日が経ちました。

わたくし事ですが。

3月30日、
京都二条城の美しい夜桜を
骨壺の中に眠る亡き母に
見せることにしています。

花を咲かせるのが難しい冬に凜として
咲いている雪中花のような女性でした。

わたしは、花言葉「帰ってきて!」と、
発するのでしょうか ──。

花記憶…。
雪中花と夜桜。

思い出し、悲しみや痛みを共有するのも、
セ・ラ・ビ なのでしょう。

 

 

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